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地図と領土

『地図と領土』 ミシェル・ウェルベック/野崎歓(筑摩書房) 要約すればわれわれの芸術家としての立場は以下のとおりである。われわれは商業的生産によって息の根を止められた職人仕事の最後の代弁者なのだ。 これは作中でウィリアム・モリスの言葉として語…

言語が違えば、世界も違って見えるわけ

『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』 ガイ・ドイッチャー/椋田直子 訳(インターシフト) 言語が話し手の心に影響するやり方が、言語によって異なるとすれば、それぞれの言語が話し手になにを考えるのを許すかによるのではなく、それぞれの言語の話し…

日本人のための日本語文法入門

『日本人のための日本語文法入門』 原沢伊都夫(講談社現代新書) 職場で対日本人スキルがほとんどない外国人を相手にする上で、いろいろ参考になる本だった。特に日本人がほぼ無意識に使っている、ニュアンス(本文中ではムードと言っている)を出す表現に…

狂王ルートヴィヒ

『狂王ルートヴィヒ―夢の王国の黄昏』 ジャン・デ・カール (中公文庫) ディズニーランドがある時代に生まれてれば、それほど狂人扱いもされずに楽しく人生過ごしたんじゃないかという前々からの推測が確信に変わったですね。

ペルセポリスII、その他

6月に読んだ本どん。読書メーター便利だね。 『ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る』 マルジャン・サトラピ 『百鬼夜行抄(21)』 今 市子(ソノラマコミックス) これまでの経緯が思い出せなくて土曜日半日潰して1巻から読み直したアホウがこちら… 『落第忍者乱…

『根をもつこと 上・下』 シモーヌ・ヴェイユ/富原眞弓 訳(岩波文庫) 神の摂理は世界の秩序の混乱でもなければ異常でもない。それは世界の秩序そのものだ。というより、この宇宙に秩序を与える原理である。唯一にして永遠なる叡智、諸関係を支配する綱とし…

『世に棲む患者』 中井久夫(ちくま学芸文庫) カウンセリングって受けたことないけど、この本読んでるだけでもカウンセリング効果あるんじゃないかと思った。

『人間について』 シモーヌ・ボーヴォワール/青柳瑞穂 訳(新潮文庫) 訳文が読みづらすぎて、きちんと意味が取れているかどうか甚だしく不安。ただ、この本は前々から持っていて、何度も開いては投げ出しをしていた理由は、この読みにくさに加えて、本文の…

『自由と社会的抑圧』 シモーヌ・ヴェイユ/富原眞弓 訳(岩波文庫) もはや労働は、自分は役にたつという誇らしい意識では遂行されない。むしろ、運命のあてにならぬ好意が施してくれた特権、まさに自分がそれを享受するという事実ゆえに他の人びとから職を…

日本人のための戦略的思考入門/日本の国境問題

『日本人のための戦略的思考入門』 孫崎亨(祥伝社新書) 『日本の国境問題』 孫崎亨(ちくま新書) 引用元を確認していないのでバイアスの程度は判断できないが、書いてある範囲で論理が明快で説得力ある。後者の内容は前者と一部重複するのだが、国境問題…

『執事とメイドの表裏』 新井潤美(白水社)

『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』 石井好子(河出文庫) 食いしん坊には堪らんエッセイ。特に卵好きには。しかしここに書かれている通りのレシピは私にはバターが多すぎて無理ぽ。あとスペイン料理をdisったのはゆるさんー 『チェルノブイリの森 事…

ブエノスアイレス食堂

『ブエノスアイレス食堂』 カルロス・バルマセーダ/柵原孝敦 訳(白水社) 文明はただ暴力や嘘から成り立っているわけではない。食とて文明なのだから、自身の伝説を語るものなのだ。 (p37) ジュースキントの『香水』が人体そのものへの執着を愛との関係で描…

流離譚 下

『流離譚 下』 安岡章太郎(新潮文庫) 読み始めた先から仕事が祭りに突入し、あまり集中して読めなかったのが残念だった。どうしても安岡三兄弟を中心に描いているし、幕末の大まかな歴史的出来事は頭に入っている前提で書かれているので、私にはよくわから…

流離譚 上/中国化する日本

『流離譚 上』 安岡章太郎(新潮文庫) 安岡章太郎が勤皇党に深く関係した土佐郷士の家の生まれとは知らなんだ。一族に伝わる書簡やその他の膨大な資料を駆使して彼自身の先祖のみならず、幕末当時の情勢を鮮やかに浮かび上がらせる。一次資料の引用が多く、…

『アリスの国の不思議なお料理』 ジョン・フィッシャー/開高道子 訳 買おうか迷って図書館で借りてみた。正直レシピ本としては全く魅力的でない。いかにも英国風の小麦粉と砂糖と脂の固まりみたいなお菓子が多くて見ているだけで震え上がるんだが、語り口が…

溜めすぎた…。 『丸元淑生のクック・ブック 完全版』 丸元淑生(文藝春秋) 図書館拾い本。新巻と時鮭の違いが初めてわかった。 『スペインのBARがわかる本』 川口剛(バルク・カンパニー) スペインに旅行する前に読むつもりだったんだが今頃。バルおたくの…

総統の子ら

『総統の子ら』 皆川博子(集英社)(11/13) 実は、読んでいて途中で飽きてきてしまった。確かに背景の書き込みが克明でそれだけでもどれほどの労作かとわかるのだが、如何せんストレートな大河ロマンで……汚れちまった私は単なる大河ロマンには萌えられんの…

卵をめぐる祖父の戦争

『卵をめぐる祖父の戦争』 ディヴィッド・ベニオフ/田口俊樹 訳(早川ポケットミステリ)(11/21) 最近ようやく、戦争を直接は知らない世代、近親者(それも祖父母世代)の体験談でしか知らない世代が、WW2を書き始めたように思う。近親者が体験しているか…

死の泉

『死の泉』 皆川博子(早川書房) 『総統の子ら』の予習がてら読み始めたんだが、正直言ってドイツ舞台の小説としてはあまり評価はできない。しかしそれでもぐいぐい読ませる筆力ではあった。 評価できない理由は、この小説が作中作にドイツ人が書いた小説を…

マニエリスム芸術論

『マニエリスム芸術論』 若桑みどり(ちくま学芸文庫)

魔法の庭/シュガーな俺

『魔法の庭』 イタロ・カルヴィーノ/和田忠彦 訳(ちくま文庫) 『シュガーな俺』 平山瑞穂(新潮文庫)

ベルリン特電

『ベルリン特電』 江尻進(共同通信社)

『十字軍騎士団』 橋口倫介(講談社学術文庫)

『こちらあみ子』 今村夏子(筑摩書房)

中世ヨーロッパの歴史

『中世ヨーロッパの歴史』 堀越孝一(講談社学術文庫) 読み始めて、おおこれは、ローマ末期のあの混乱状態、ガリアがあってゲルマンが移動してきてノルマンが湧いて出てサクソンがどうしたえええぐしゃぐしゃでわかんねえwwwという時代のローマ直轄圏外…

北の十字軍

『北の十字軍 「ヨーロッパ」の北方拡大』 山内進(講談社学術文庫) 久しぶりにリアル書店をザッピングしていたら発見した。丸ごとドイツ騎士団の本。 「ヨーロッパ」というのは地理的な括りではなく、文化圏の括りである、というのには今更だが目から鱗。…

チボの狂宴

『チボの狂宴』 マリオ・バルガス=リョサ/八重樫克彦・八重樫由貴子 訳(作品社) 登場人物が多いのと人名が似通っているのと背景や歴史を知らないのとで大混乱するかと思ったら、それぞれのキャラがめちゃめちゃ立っているのと語りが上手いので全く無問題…

生き残った帝国ビサンティン/ARRIVAL

『生き残った帝国ビサンティン』 井上浩一(講談社文芸文庫) 大分駆け足ではあるものの、ビサンティン帝国一千年史をわかりやすく概括する良書。歴史書というより物語と解説書のようで、素人にも読みやすい。ただ、『ビサンツ皇妃列伝』とかぶる部分も多い…

ちびの聖者/グロテスク

『ちびの聖者』 ジョルジュ・シムノン/長島良三 訳(河出書房新社) 手際よいストーリーテリングってこういうことを言うんだろう。読んでいてストレスのない、ほんのりじんわり快い小説。パリの旧市場の描写とお母さんの人物像が好きだった。 『グロテスク』…