垂れ流し

本日のお見送りはこれ。フレイタス・ブランコ名演集。ポルトガルの指揮者です。
Amazonで出てこなかったのでHMVにリンク貼っときます。私なぞよりずっと的確な紹介がついてます。
http://www.hmv.co.jp/news/newsdetail.asp?newsnum=503210007
目玉は勿論、シャンゼリゼ管による史上最も遅い『ボレロ』。試聴コーナーで聴いてきましたけど、これはこれで圧巻です。曲の初めから一般的に聞き慣れているテンポよりかなり遅いんですが、これが本当に加速しない。トロンボーンソロが始まるところまでで約10分経ってましたよ。恐るべし。でもそれが不思議とダルくない。リズムがかなりしっかり刻まれているせいもあり、ソロ楽器がフランスのオケらしくそれぞれ激しく自己主張のある音色なのもあり。ゆるやかに安定したテンポの上を流れる、決して滑らかでない(録音のせいだけでなくもともとの音色がちょっと錆びた感じの渋い音なのだ)響きは、中世の宮廷音楽を壮大にしたようですごく優雅なのだ。逆にテンポを上げたらきっとこのエレガントさが台無しになる。最後のクライマックスもあくまでゆったりと。それでいて艶消しの貴金属の輝きのような厚みのある響きは絢爛豪華と言っていいでしょう。それにしてもこれ、ソロ奏者は大変でしょうねえ。(まあプロだから息が続かないってことはないでしょうけど) 買わなかった理由はただひとつ。間違いなく入眠CDになりそうだから。こういうのは生でこそ聴きたい。