• SCHUMANN: Carnaval, Fantasiestucke, Papillons』 Marc-Andre Hamlin(pf)(Hyperion)
  • SCHUMANN: Fantasie, Etudes, Symphoniques, Sonata No.2』 Marc-Andre Hamlin(pf)(Hyperion)

Amazonでは商品の影すら出てきませんので、HMVのページにリンクしておきます。
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シューマンピアノ曲贔屓とは言え、正直『パピヨン』と『幻想小曲集』はあんまり好きじゃありません。どちらも断片的な印象をかき集めた感じで、曲としてはあまりまとまりがない気がするんですよね。なので、1枚目は『謝肉祭』目当て。

2枚ともに共通するんですが、全体的につや消ししたような渋い、言ってみれば地味なトーンの演奏です。決して輝かしい印象ではありません。そういう意味で、手持ちのネルソン・フレイレの『謝肉祭』とは好対照。こちらはきらきらと音が転がり流れる熱狂的で華やかな演奏です。個人的な好みを言えば、この曲に関してはネルソン提督に軍配かなあ。1曲目などにベースラインが効いているところはアムランのほうが好きだし、「パガニーニ」や終曲1個前の「小休止」なんかの疾走感は鳥肌ものですが。

一方で、幻想曲、交響的練習曲は素晴らしかった。幻想曲は小菅優の演奏を持っていて、彼女のダイナミックで勢いのある演奏に比べて抑制された印象がありますが、ときどき全体のペールトーンの靄の中からきらきらした音の粒が、水底からふっと浮かび上がるように現れるのが素敵。それでいてすべてのパッセージが明瞭に聞こえてくるところが凄い。緻密にして繊細。しみじみ美しい。交響的練習曲は他の曲に比べてエッジのはっきりしたダイナミックな演奏で、この中では私は一番気に入りました。