超哲学者マンソンジュ氏
「もしあなたがここにいるのなら、あなたはあまりに遠くまで読み進んできたのだ」と彼は謎めいた言葉を綴る。「もしあなたがここにいるのなら、あなたはここにいるべきではない。あなたは私の誘惑に従ってしまった……だが私は誘惑するつもりなどなかった。……」
(p166)
ぶぶぶぶ。これってば一冊まるごと哲学ジョーク。マンソンジュ先生は哲学版『不在の騎士』ですね。まえがき/あとがきをディヴィッド・ロッジが書いているあたり筋金入り。しかしそういえば、どこぞの物理学の先生がジョークで適当な表やら数式やらを出鱈目に埋め込んだなんちゃって哲学論文を業界の権威ある学術誌に送ったら、スルーでそのまんま掲載されちゃったなんて嘘みたいな話もあるようですから、何がジョークで何がジョークじゃないのかわからない世界です。「哲学」をちゃんと知っているともっと楽しめるんだろうなあ。でもディコンストラクションと脱構築がどうして訳し分けられているのかわからないような私の如き無学者でも十分「知的羽交い絞め」を味わうことができます。