無境界家族

最初に思ったのは、オーストラリアってのびのびしてて住みやすそうで羨ましい、で次に思ったのは、この人不真面目そうに見えてかなりの勉強家だなーということ。家族エッセイということで、見事なまでの家族(息子&妻)自慢炸裂っぷりなのだが、全然嫌味がないのは、この人が他人がそれをどう評価するかじゃなくて、自分が本当にすごい、素敵だと思うから書いているせいだと思う(そのおかげか、あまり自慢にも聞こえない潔い書きっぷり)。そして、あちこちで振りかざされる「文化」なるお題目への批判は理路整然としていて容赦ない。
しかし、こうしてみるとオーストラリアってうっとうしい「世間」はなさそうだし、血縁社会もきつくなさそうだし、移住するには一番スムーズそうなんだけど、やっぱりちょっと抵抗あるなあ。いざいきなり広い自由なところにぽんと放り出されるとおろおろしそうだし(あれだ、囲い込まれた家畜の心理)、何より暑いのは嫌だ。Tシャツとビーサンが国民服になるようなホットでアウトドアな風土は、もやし育ちには厳しそうだ。余生を過ごすなら、うっかりすると寝ている間に熱中症で撃沈しかねない土地はもう真っ平、むしろうっかり夜中ストーブをつけずに寝てしまったら凍死の恐れがあるような土地で、文字通り隠居して暮らしたい。