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- "Rachmaninov Piano Concertos 2 & 3" Jorge Luis Prats(pf)/Mexico City Philharmonic Orchestra/Enrique Batiz (Regis)
- "BRAHMS Piano Concerto No 2, Four Piano Pieces" Marc-Andre Hamlin(pf)/Dallas Symphony Orchestra (hyperion)
- "ドヴォルザーク&ハイドン:チェロ協奏曲" ピエール・フルニエ(vc)/ベルリンフィル&セル/ルツェルン音楽祭弦楽合奏団&バウムガルドナー (Deutche Grammophon)
この↓レビューを読んで以来、探し回っていたプラッツ&バティスのラフマニノフ・ピアノコンチェルト、廃盤だったのがめでたくHMVに復活してました!
http://www.geocities.jp/orcheseek/disque/disque4.html
こんなに書かれる爆演ってどんなもんよ、と興味津々だったのですが、いやホント、こりゃすげえ。期待に違わぬっていうか、むしろ期待以上の赫々たる爆演です。プラッツは本当にテクニックがとてもしっかりした人で、テンポは速め。それでいて歌うところはしっとりと聞かせ、ためるところはたっぷりコブシを回し、と緩急自在。しかしこの人の素晴らしいところは、ここぞ、という攻め込みどころで気持ちいいくらいにアクセルがかかるところ。そしてそのアクセルに手薬煉引いてたオケがすかさずレスポンスし、凄まじい煽りを見せるところです。この馬力はヨーロッパのオケにはないよ(日本は言わずもがな)。ロシアのオケにはあるかもしれないけど、ロシアの凶暴さとはちょっと違う。もっとスコーンと抜けたはちゃめちゃさとスピード感がある。これがラテンのパワーか。
詳しい爆演ぶりは上のレビューで言い尽くされていると思いますので、そちらを読んでいただくとして、3番三楽章冒頭のシンバル、本当にベシッ、ベシッっていってるよ(笑) 2番はまだ一楽章二楽章まではしっとりロシア風味なんですが(三楽章はここぞとばかりお祭り騒ぎ)、3番は一楽章からプラッツがイっちゃってます。大暴れとしか言いようのないぶっ飛ばしよう。当然オケも「そーゆーノリならこっちも行きまっせー」とばかりに、三楽章のトランペットはクインシー・ジョーンズのビックバンド・ボサノヴァみたいにきゅいきゅいいってるし、フルートはフラッターなんじゃないかと疑われるような音出してるし、シンバルは相変わらずベシベシと煽ってくれます。コーダはナイアガラの滝落としさながらのフリーフォール感。これ聞いちゃったらアクが強すぎて他の演奏が霞むよ。
しかしこれだけやりたい放題やってても、演奏がしっちゃかめっちゃかにはならないどころか、スリリングなキレを見せるところがプラッツの凄いところ。こんなジェットコースター級演奏できる人、そうそういないですよ。こんなピアニストがマイナーなまま埋もれてたなんて勿体なーい。
えー、言いたい放題書きましたが、笑えるポイントがそこここに散りばめられているとはいえ、全体として高レベルな名演だと思います。最近の演奏は大人しくて面白くないよと思われる方には超オススメです。
ちなみにこのCD、届いてみたらケースが欠けててぱこっと蓋が取れてしまったんだけど、それも何だかこのCDらしいから返品交換しなくていいかと思ってしまった(面倒だしね)。もとはと言えばドヴォルザークの予習CDを買うついでだったのに、こっちばっかり聞いてるよ私。