日本近代文学と<差別>

渡部さんの文体は晦渋で頭にスが立っているような私ではさっぱ理解しきれない。筒井康隆『断筆宣言』の傲慢さ、柳田国男の見事に体制サイドの視点はわかった。『破戒』の腰砕け加減、水平社運動とそれに迎合する者たちが推し進めたのは結局のところ、差異を認めることではなく、均一性を(『同和』という言葉がいみじくも表わすように)求め強いることであり、それが全体主義にも植民地帝国主義にも繋がっていったこともわかった。で、その後の大西巨人中上健次の位置づけがよくわからない。どっちも一作も読んでないからなあ。読んでから再読すべきでしょうな。渡部さんが中上健次を愛してるってことはよくわかった。