チェリビダッケ/甘粕正彦

チェリ指揮の音盤はあまり聴いたことがないのですが、風貌はお年を召してからの白髪がインプリントされていたもので、『帝国オーケストラ』で若いときの映像を見て吃驚しました。中南米のサッカー選手にでもいそうな濃ゆくて精悍な風貌でありました。いやまあ、よくよく見るとbefore-afterがわかりはするのですが。

甘粕正彦に対するイメージは、以前角田房子の『甘粕大尉』を読んだときの感想と変わらないのだが、膨大な資料と証言を駆使して大杉・伊藤扼殺事件の真犯人が甘粕ではないと証明したところが最大の成果かと思います。それよりも…、、、この膨大な証言によって浮かび上がった人物像に……どうしても二次創作のネタになりそうな属性を認めて拭い去れなかったのですが……。
大部ながら面白く、ほぼ一気読みだったのですが、事実や証言を提示するたびに、いちいち著者の些か大仰な主観的感想が差し挟まれるのが少々うざいところが玉に瑕。