映画二本立て。

  • 『英国王 給仕人に乾杯!』 シャンテ・シネ(1/12)

チェコの映画だけど、このブラックで毒のある笑いと、ごく当たり前のエロさはフランス映画の系統だ。何せ出てくる女性は片っ端から脱ぐしね! 少々間延びした感もあったけど、中欧の香気馥郁たるプラハナチス・ドイツに侵略され、次いでソ連共産主義に呑み込まれるさまを、小さな給仕の目を通してシニカルな笑いにくるんで描いた秀作。観終わったらビールが飲みたくなること必至。私はとりあえず近くのドイツ居酒屋に飛び込みましたよ。
しかしいつもながらこの劇場は上品な年配の客層なのだが、最初にヌードが画面いっぱいに映った瞬間、何だか妙な空気が流れたのは気のせいでしょうか。「あらやだ、これこんな破廉恥な映画だったかしら」的な…。

重厚な映像美と緻密で緊張感のある構成で片時も観客の注意を逸らさない。すべてが真実ともラウラの妄想とも取れる多面的で心を打つ作品。パンズ・ラビリンスと言い、ギレルモ・デル・トロの映画は心臓に悪いなあ(褒めてます)



ところで、シモンがほっぺた引っ叩かれたシーンで、思わず「殴ったね?! 親父にだってぶたれたことないのに!」というテロップが脳裏を流れたわたくしは懺悔せねばなりません。(ほんとどうしていつもこう作品を汚すような感想が…)