カルメン

佐渡裕芸術監督の『カルメン』観てきました。東京文化会館
えらく満員でした。ホセが素晴らしかった〜! 『カルメン』てカルメンとかエスカミーリョの歌ばかり有名だけど、実はホセのアリアがすごく良いのですね。改めて聴くと主役のテノールがとても優遇されているオペラだと思いました。オペラのテノールって大抵ヘタレだったり軽はずみな若造だったりするけど、まあホセもヘタレとも言えるけど、とても贔屓されている感あり。カルメンの仲間のジプシー女二人(フラスキータとメルセデス)と、密輸団二人(ダンカイロとレメンダート)もとても良かったです。あと、児童合唱団が歌も演技もめちゃくちゃ上手い! ミカエラエスカミーリョは残念ながら声質があまり好みじゃなかった。カルメンは……普通かな。すんません、やっぱりあまりに有名なので点が辛くなりがち。でも安心して聴けるカルメンでした。
演出に関しては、全体にシリアスでドラマチックな場面より、ちょっとコミカルな場面(二幕のリリャス・パスティアとか)のほうが生き生きしてたな。『カルメン』は実はきちんと全部上演すると割と長くて、大抵の公演では結構カットしているそうですが、今回はあまりカットしなかったようで。でもやっぱりナレーションとか台詞が多いのはちょっとダレる。演劇ならちゃんと筋を通さないといけないかもしれないけど、これってオペラじゃん? オペラにストーリーの整合性とか求めないじゃん? 多少端折っても、もっと歌でテンポ良く繋いだほうが良かった気がする。
オケは……上手いと思うんだけど、ちょっと演奏が荒っぽすぎる気が。音を歯切れ良く切り過ぎて、あまりに体育会系。管楽器もとても上手なんだけど(トランペット・ソロ素晴らしかった!)、全体にビブラートもあまりかけない、至極あっさりした演奏(フルートなんかこんな曲、鬼のようにビブラートかけるもんなんじゃないのか?!)。指揮者の意向でしょうか。もうちょっと色っぽい演奏がいいな…。