ボルゲーゼ美術館展

練習の後、楽器を背負ったままボルゲーゼ美術館展に行ってきた。(3/22)
あまり量はなかったけど、結構好きな絵が多かった。やっぱり油絵はどんなものでも、絵の具に光が当たって光るから、実物のほうが輝きがあって美しいんだよな。
一角獣を抱く貴婦人はあれが修復後の状態なのだと初めて知りました。構図は一緒でも修復前と衣装とか道具立てとかが全然違う。こういうことができちゃうのが油彩のすごいところだ。でもいつも思うのが、ここまで修復とか改変できちゃうと、誰が最初に描いたかとかあんまり意味をなさなくなるよな、と。勿論、技術の優劣はあるんですが。
他に好きだったのがバッティステッロのゴリアテの首を持つダヴィデ、グエルチーノの放蕩息子、ギルランダイオのレダとルクレツィア。カラヴァッジョは気だるげなヨハネだけだったけど、他の絵から一際異彩を放ってえろい。
カラヴァッジョって、必ずしも人体をきれいな比率で正しく描いてない。下絵をほとんど描かないでカンバス一発描きする人だったらしいけど、そのせいなのか、デッサンが甘いところがある。だから崩れた部分があって、そこがリアルでえろさを感じるところなんじゃないのかな。
ミュージアムショップでカラヴァッジョの画集が欲しかったんだけど、国立西洋まで回っても良いのがない。解説なしでいいから、なるべく絵の図版が大きいのが欲しかったんだけど、TASCHENのは絵の写真がいまいちだし、あとは特大の美装本しかない。ということで、これを買いました。
もっと知りたいカラヴァッジョ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
初心者向け解説つきで、でも絵の図版も結構大きい。これ読んでて間抜けにも初めて気づいたんですが、カラヴァッジョは宗教画を描いてても、人物や背景は当時の服装や風俗で描いてるんですね。彼は宗教画の枠を借りて、結局のところ当時の世界の人々の様相を描いてたわけだ。だから圧倒的にリアルで、民衆の絶大な支持を得たんだろう。