アンドレア・シェニエ

アンドレア・シェニエを観て来た。新国立劇場。(11/18)
これまでドイツオペラが続いていたせいか、とてもリラックスして聴けた。お客さんもそんなに多くない。ガラガラではないけど満席でもない。カフェも混まなくてちょうどいい塩梅。
音楽は柔らかくて聴きやすくて華やか、甘美。ただあまり覚えやすいキラーチューンがないのが残念なところ。というより、アリアが悉くかなり長くてかなり難しそうなんですね。鼻歌で歌える感じではない。それがマイナーな原因かしらん。
テノールって大体若造だったり抜け作だったりであんまりかっこいい役どころない印象だったけど、このタイトルロールはかっこいい。けど一番良かったと思ったのはジェラール役のバリトンの歌手さん。ソプラノは強烈だった。フルオケとテノールのフォルテッシモをバックにソロカラオケ状態。これから死ぬとは思えない。イタリア女最強伝説。そしてこのイタリア人のソプラノが陽気すぎ。カーテンコールがめちゃくちゃ可笑しかった。プリマドンナとは思えない庶民的な仕草でぶんぶん手を振るわ、小柄な合唱指揮者と子供と両手繋いで振り回すわw
物語はフランス革命を舞台にした悲恋。というのは外皮で、革命に大迷惑を被った上、自分たちは革命を起こせなかったイタリア人がフランス革命を描くだけに、彼らのモヤモヤした感情が随所に表れている気がした。三幕で革命の幻滅を歌うジェラールのアリアが白眉。劇中あちこちでトリコロールを破いたりぶん投げたりしまくりで、初演のときイタリア人は溜飲下げたんじゃないかと邪推してしまった。
それにしても最近のオペラは衣装が白いのばっかりで、ちょっと単調だわーと思ってしまった。ギロチンの刃になぞらえて全てが斜めってる舞台装置は面白かったのだけど。