tatsumidou2006-11-08

風邪気味であまり脳天に突き刺さる音は聞きたくないけど、ダルい曲はイヤ。
という究極の我儘状態にぴったりフィットしてくれたのがこれ。結構前に買ったからまたしても入手不能かと思ったけど、いろいろ検索しまくってやっとHMVに発見。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/97913
ヴィヴァルディとピアソラの『四季』がカップリングされてます。演奏はストラヴィンスキー室内管弦楽団。…この名前だけで私がジャケ買いしたのが読まれそうですがまさにその通りです。だけど実はイタリアのモダン楽器アンサンブル。
以前、結構音楽に煩い大学時代の先輩に聞かせたところ「感動的なくらいのもの凄い邪道だ!」と呆れ通り越して感心されたこのCD、確かにかなーりいろんな意味でトンデモだ。
ピアソラヨーヨー・マクレーメルなどのビッグネームが取り上げて一時期爆発的ブームになり、何でもアリな状態になったもんですが、この団体のやりたい放題さ加減はむしろピアソラよりもヴィヴァルディで激しい。
まず、ヴィヴァルディの『四季』の演奏の上から、イタリア語のソネットの朗読が重ねて録音されている。耳触りのいい「春」の冒頭が聞こえてきたと思ったら、野太い声で詩の朗読が始まるんだから、CDの説明書きを読んで予備知識のあった私でも最初はむちゃくちゃ驚いた。今でもこの最初の箇所だけは、つい弦の柔らかい音色に油断して、びくっとしてしまう。しかし慣れるとこれがない『四季』の演奏は何だか物足りない気がするのが刷り込みの恐ろしいところ。
そして、徹底的な楽譜改変。もはや「自由な解釈」とかいうぬるい状態じゃない。一番凄いのが「冬」の一楽章。これはもう、何から何まで完全にタンゴだ。でもこれがスリリングで最高に格好良い。「冬」がこんなクールでアツい演奏になるなんて目から鱗です。
こういう団体ですから、古典という形式のタガが外れたピアソラはそりゃもうクールで格好良いに尽きます。数ある我が家の邪道コレクションの中でも不動の地位を保っている一枚であります。