記憶の書

麻薬中毒者による麻薬中毒者の脳内でのめくるめくアドベンチャー。しかし展開には何だかエンデの『はてしない物語』を連想させられた。記憶の島が崩壊する様子はまるでファンタージエンの崩壊(特に映画版)そのまんま。人の脳内イメージで構成されているってところまで同じだ。作中の人や土地の名前のつけ方が気になるところです。原文をあたっていないから完全な想像で言いますが、アノタイン=annotation?、ビロウ=below?、ウィナウ=wenow或いはweknow?、とかその他もろもろ考え出すと止まらない。前作『白い果実』は山尾悠子、今作は貞奴のリライトだそうですが、どうも今回は原作の薄味さとチープな感じが全面に出てきた感があります。簡潔で歯切れの良い訳だけにそこらへんはカバーされなかった模様。やっぱり前作は山尾悠子マジックだったんだな…。