父が仕事でこちらに出てきたついでにちょこっと顔を合わせて近況など聞く。勤務先の学生の話になって、学部の必修科目を持っているのだが学生の評判はあまりよろしくないらしい。私の時代に学生に無記名のアンケートで講義の評価をさせるというのがちょうど始まったもんですが、そういうアンケートに「板書が単語だけなので授業がわからない」と書かれるそうだ。その他にも「しゃべっている学生を注意しないので授業に集中できない」とか。逆に注意すると「授業中に怒ってばかりいる」、講義を面白くしようと脱線をすると「脱線が多くて話の内容がわからなくなる」。
基本的に大方の大学のセンセーというのは気楽な稼業だと思っているので、まあ多少の苦労には同情しないのだが、評価する側がここまでアレというのはお気の毒様と言うしかない。
確かに、すでに私の時代でも、中学高校の授業は、話を聞いていなくても板書さえ何とかノートに書き写していれば、それなりに授業内容を要約したノートになる、という程度に板書する先生が多かった。むしろほとんど話さずにひたすら板書する、という先生も結構いた。ただ当時はこういう先生が必ずしも100%ではなかったので、板書しない先生ほどノートを取る側のセンスが問われ、だからそういう子のノートは試験前には引っ張りだこになるわけだ。おそらく指導要綱で「生徒にわかるようきちんと板書する」という指導がされていたんでしょうな。中学高校でこういう授業方式がより徹底されていれば、大学でもとりあえず板書を写せばいい、と思う学生ばかりになって当然でしょう。これをもって「学生の質が落ちている」というなら、文部科学省の指導の賜物ですな。