ドン・キホーテの食卓

古本屋で300円でげっと。駅近にいくつか古本屋があるんですが、どれもこれも食べ物・料理関係の本が充実していて嬉しい。
でこれ、ドン・キホーテとスペインの食べ物にまつわるエッセイというか紀行文というかな体裁なんですが、茄子に関する第一章を読んで、うーんこれって黒田硫黄の「アンダルシアの夏」の世界、と思っていたら、本当にネタ本だったようでした(巻末の茄子漬レシピのところに紹介されてます)。著者はスペイン文学者でドン・キホーテの翻訳で有名な方だそうですが、人を食ったような飄々とした文章がとても面白い。スペインの風土と食べ物を垂涎の筆致で紹介しながら、ドン・キホーテの笑いが実は当時のスペインでのイスラム教徒やユダヤ人差別を下敷きした相当にブラックなものであったことを教えてくれます。著者がまた(若い頃の写真なんでしょうが)スペインに行っても違和感なく溶け込めるような目鼻立ちのはっきりした男前なんですな。楽しい読書。(本も顔で選ぶ女)