お正月に見た映画一覧、いっきまーす。

あちこちに拡散するプロットをなぎ倒し踏み潰し突き進み、後には置いてきぼりになった伏線が累々と散乱する映画だった。どんなに荒唐無稽でもお約束でもあり得ない展開でも、無理くり観客について来させるテンポの良さには感心。

最初関くんに椎名桔平ってどうなのよと思っていたらこれが意外とハマっていた。堤真一京極堂田中麗奈のあっちゃん、黒木瞳の陽子もまあいい。阿部寛の榎木津はちょっとかっこよすぎで落ち着きすぎ。もっと落ち着きのない奇人のほうが良かった(及川光博とかに演ってもらいたいくらいだ)。あと風景がどうしても昭和初期の日本に見えない。どう見ても中国。建物も空気感もエキストラもまんま中国。まあ異界物と思えばそれもアリだけど。
なんてのはまあ小さいことです。この映画の最大の問題は、
木場がただのちんぴら。
なんだよあれーこの回は木場オンステージのはずじゃないかよーひどいよーあれじゃ単なる映画ヲタのちんぴらだよー刑事の仕事いっこもしてないっていうかむしろ出てきては引っ掻き回してるだけだよーそれってば榎さんの役回りだよー大体榎さんと木場の身長差からしてありえないよー木場が小さすぎるよー二人で並ぶところ撮るならシークレット履かせてくれよー(以下省略)

木場好きとしては無念過ぎる『魍魎』の出来栄えに、確か監督が一作目と変わっているはずだと思い出し、比較のために観てみた。結論を言えば、映画としては『魍魎』のほうが上。映像もキャラの作り方も(まあ原作ファンとしては木場には不満だけど、ああいう演出だとすればあれもアリでしょう。永瀬の関くんは粘着感が足りない)音楽も。何よりテンポ感が。
実相寺監督の『姑獲鳥』はとにかくテンポ感が悪い。オフビートとかいう以前の問題。そして映像がどうにも特撮っぽい。ギャグで安っぽい感じを出すのでなければ、ああいうホラーサスペンス(ホラーファンタジー?)で特撮感まるだしっていうのはいただけない。
それに比べれば原田監督の『魍魎』は少々弾丸トーク気味で疲れる部分もあるけど、流れがきびきびしていてまだ観やすいし、映像も(日本じゃない異世界だと思えば)雰囲気がある。コント的な滑稽味を持ち込んだのは正解。原作のまんまやったら陰惨過ぎるもんね。木場のあの全編通してのみっともなさもコメディだと思えば……許せるかあぁ!

最高。今年の正月の収穫はこれだ。DVD鑑賞の旧作ですが、これはもっと早くに観ておくべきだったよ。人生の損失だった。音楽が良いのはもう当然というか必然と言うか。観ているうちにヘドウィグがとてつもなく綺麗に見えてくる映画の魔術。DVDとサントラ買っちゃったよ。