黒い時計の旅

筋についていくのに必死になるくらいの錯綜した幻想小説。語り手の現実と妄想がほとんど渾然一体な状態なのに、描写はとても映像的。突飛な思いつきだけど、萩尾望都の作風とどこかかぶるような印象を受けた。銀の三角とか、あのあたり。(共通点は時空物ってだけか) 萩尾さんのどちらかというとヨーロピアンなテイストをアメリカンにした、つまり詩情性よりも、乾いた荒廃感が勝る感じ。そしてアメリカ伝統のロードムービーなのだった。