噂に違わぬ傑作。ミュージカルと本格的カーチェイスが見事に同居している。映画としてはちょっとテンポが間延びしているところがあるけど、あの音楽の豪華さは素晴らしいなあ。教会の説教壇にJBを見た途端、キタキタキター! と思いましたよ。他にもチャカ・カーンアレサ・フランクリン(きっつい食堂のおばちゃん)、キャブ・キャロウェイ(孤児院のおじさん)、レイ・チャールズ(万引き小僧にピストルぶっ放す楽器店オーナー)。のほほんとした納税課のお役人役にスピルバーグまでカメオ出演している。
おっかしいのがダン・アクロイドが演じるエルウッドのキャラ。怖い孤児院のシスター・ぺンギンとの約束をちゃんと守る義理堅さを持ちながら(でも叱られて「このくそペンギン!」とか叫んだりする)、交通法規とおまわりは綺麗に無視。住んでいる安宿を爆破されても平然と瓦礫の下から起き出し、9時だから仕事に行くと言って勤める接着剤工場に赴き、ちゃんと上司に退職の挨拶をし、ついでに商品の接着剤を数本失敬する。
カーチェイスも見もの。年代物のいかにも図体のでかいアメ車パトカーが魚河岸のマグロのようにごろごろ横転し山積みになる映画だ。しまいには州警、イリノイ・ナチ、飲み逃げされたウエスタンバーの一味、陸軍、消防、MPまで動員した総力戦捕縛劇になり、「見ろ、人がごみのようだ!」と思わず叫びたくなる人海戦術が見物できる。いやあ楽しかった。
それにしても、ウエスタンバーがあんなに野蛮な場所だとは知らなかったよ。