眠る石

眠る石 (ハルキ文庫)

著者の跋に「地名への偏執の所産」とある通り、廃墟となった地の喚起するイメージ、廃墟の石が語る記憶を編んだような短編集。こういう短編が書ける人は今や他にはいないなあ。中野さんはもう十年も前に教鞭を執った大学を定年退官されてしまい、北大文学部にモグるという私のささやかな夢も潰えてしまった。是非とも長生きしてもっともっといろいろな奇想を語ってください。