軍犬と世界の痛み

某書評で興味を持って読みました。既存のファンタジーの型を破るオチにはなるほどと思ったけど、それ以外の全てには正直落胆。まず原文がそうなのか訳の問題なのか、文章がやたらと読みづらい。情景の描き込みがあっさりしすぎて世界観を味わう楽しみがない。登場人物のキャラクタ造形がマッチョかつ単純に過ぎ(思索的な人物に描こうとはしているけど、どうにも不首尾)、何よりおつかい勇者そのものの展開自体が退屈で(怪しい森に紛れ込んだら人ひとり居ない壮麗な城に辿り着きそこで無断飲食宿泊してたらゾンビを配下に引き連れた美女がやってきて誑し込まれた結果その美女の主に合う羽目になり城の図書室に行くと悪魔が本を読んでいてディズニーランドのアトラクションさながらの地獄ツアーに連れて行かれこういう地獄に落ちるのが嫌だったら聖杯探して来いと契約を強いられ……って書くとかなりシュールだけどな。これがやたらと重々しい文体で、にもかかわらずRPGのト書きのようにあっさりと書き飛ばされているのが何とも…)、最後のオチもやたらに説明的な主人公の心情描写で途中から何となくわかってきちゃうので、読んでいて新鮮さとか驚きとかいうものを味わう余地もない。何より著者近影のテンガロンハットの髭親父が気に入らなかったものと思われ。<そこか。