バベットの晩餐会

イサク・ディーネセンはアイザック・ディネーセンで、カーレン又はカレン・ブリクセンの英語圏でのペンネーム。どうも日本では音訳が定まっていないらしい。
前に運命綺譚を読んだときにも思ったけど、やっぱりディーネセン/ブリクセンの短編は難解。やさしい言葉で寓意的に書いているだけに、真意が読み取りづらい。特に西欧圏の基礎教養がない身には。

「親愛なる兄弟、慈悲と真実は会うのです」と聖書の詩篇から一節をひいて監督牧師はいった。「正義と幸福はおたがいに口づけをすることになるのです」

(p14,「バベットの晩餐会」)

しかしここでのテーマは、芸術において正義と幸福とは必ずしも相容れないということだろう。
『アフリカの日々』を読んだ後だと、バベットやエーレンガートは著者自身のイメージと重複する。