あの戦争は何だったのか

教科書と言うにはちょっとはしょり気味な気もするけど。太平洋戦争に極まれる近代日本の愚行については、軍部の暴走だとか政治家(てか近衛首相だけど)が政治を投げただとかいろいろ言われていますが、私がこれを読んで感じたのは、圧倒的なコミュニケーション不全。
軍官僚は天皇の意思を(自分に都合の良いように)忖度して勝手に事を進め、対する天皇も自分の意思をはっきりと言葉で表明することなく、例えば戦端を開くべきでなく交渉を模索せよという意向を、ただ御前会議で明治天皇の御製を詠むことで示そうとする。なんとなく、なんとなくでずるずるだらだら流されて最後まで来てしまった感じ。ポツダム宣言受諾の意思を伝えた昭和天皇の行動が、ほぼ唯一のはっきりとした指導層の決断と言えるくらいで、それだってもう最後の最後で、はっきり言って遅すぎるよ。
「もっとはっきり言葉に出して言えばよかったんじゃん」というのはその場にいなかった人間だから言えることなのかもしれないけど、この閉塞感、最近の「空気読め」みたいな無言の圧力にものすごく似た状況なんじゃないのかと思う。