友だち地獄

もともと空気読めない人で友達いない人だった私が小中高と深刻ないじめを経験せずに済んだのは、それでも

みんなと違ったらどうしようか、と。

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という無言の圧力感というか場の空気感をそれなりに察して、それなりに合わせていたからなんだろう。合わさなければいけない場でだけ最低限合わせておいて、さっさと合わせなければいけない場から離脱して、部室とか図書館とかに逃げ込んでくつろいでいた。同級生にとっては「いるのかいないのかわからない」「変な人」だっただろうし、こういう面従腹背を見抜いた教師には徹底して嫌われることになった。まあ両親との関係からむしろ家のほうが学校よりはるかにサバイバルだったしな。しかしコミュニティはその構成員にコミュニティ自体への忠誠心を要求するものだし、そうである以上、私ほど性格が悪くなくても人には避難場所が必要なんだと思う。ケータイとかインターネットの常時接続性は、こういう避難場所を減らして絶え間ないコミュニケーションの場に人を引きずり出し、自分が所属するコミュニティー以外の視界を遮断してしまうのかもしれない。