岬/新それなり/文壇アイドル論
- 『岬』 中上健次(文春文庫)
すごいとは思うけど、とりあえず読むのに疲れた。重力が三倍になったような息苦しさです。
なるなら作家より評論家のほうがいいんだけど(悪口好きだから)(うそ。嫌いな本は読めないから無理)、寝言は措くとして単純にブックガイドとして秀逸です。全部ハイライトが引いてあるわけですから、一発で取捨選択可能。そのうち読みたいのをここにリストアップしておこう。
・桐野夏生『OUT』
・高村薫『レディ・ジョーカー』
・多和田葉子『犬婿入り』
・大西巨人『神聖喜劇』
・谷崎潤一郎『鍵』
・町田康『くっすん大黒』
・阿部和重『シンセミア』(積読…だったはず)
・奥泉光『鳥類学者のファンタジア』(積読)
・島尾敏雄『死の棘』
・後藤明生『笑い地獄』
・金井美恵子『文章教室』
取り上げられているのは、村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、村上龍、立花隆、田中康夫。田中康夫以外、この私でも一応は一作くらい著作を読んだことがあるということからも、この人々の膾炙っぷりがわかろうもの。そして私にとっては、揃って「やたらと人に薦められたから読んでみたけど、どうものれないな…」という人々でもありました。その理由が身も蓋もないほどよくわかりました。村上春樹作品=ゲーセン説には心底納得したよ。俵万智の一番有名なあの一首を聞いただけで何となく反感を抱いた理由も。田中康夫論はすごく面白かった。今まで全く興味なかったんだけど、悪口雑言の冴えが楽しめるらしいエッセイを今度読んでみよう(小説は残念ながら良質のリアリズム故に「退屈」だそうですし)。