中国という大難/母は娘の人生を支配する

  • 『中国という大難』 富坂聰(新潮社)

話題は広く浅くであるものの(だけに)非常に読みやすく、面白かったのだけど、一つ疑問に思ったのは某関係者とか某筋とか書かれている証言のソース。全体にソースが明らかにされていない談話や証言が多く、門外漢のこちらにはその記述が恣意的でないか判断のしようがないのですね。

  • 『母は娘の人生を支配する』 斉藤環(NHK出版)

ユリイカ12月号繋がり。紹介される事例は、実体験があるかまたは実感とともに想像できるものばかりで、これまで漠然と感じていたことを整理されるすっきり感はあるものの、新しい発見というものはない。
ただ、この手のメンタル系(と言っていいだろう)の本によくある、症例ばかりがやたらと列挙されるものと違うところは、文学作品や漫画にまで分析範囲が広げられているところで、しかもそこが一番面白い。むしろ文学論や少女漫画論として読める。川上未映子の『乳と卵』を取り上げた部分なぞ、思わず読んでみようかと思ったくらいだ。でもユリイカに川上氏の短編が載ってたのを思い出してトライしてみたらやっぱり座礁したけど。