失われた場を探して

  • 『失われた場を探して─ロストジェネレーションの社会学』 メアリー・C・ブリントン/池村千秋 訳(NTT出版

類書ではほとんど取り上げられることのない高卒者の実態を詳細に分析しているところが面白い。
しかしな。これまでとは違う世界をサバイバルするためのスキル(ウィークタイズの活用とか対人コミュニケーション能力とか)と言っても、それは社会(主に企業やそれを指導する行政)の側も変わらないとさして効果のないスキルだ。そのことは著者も認めていて、例えば高校生アルバイトを安価で柔軟な労働力として便利に使いながらも、いざ社員を採用する際にはアルバイト経験をプラス評価としない企業側の姿勢を批判してもいる。けど、この本を読んで企業側が考え方を変えるとはとても思えない。今管理職や経営者の椅子にめり込んでいる人たちにインセンティブを与えるものは何なんだろうな。