クララ・シューマン 愛の協奏曲

クララ・シューマン 愛の協奏曲』を観てきた。渋谷Bunkamuraル・シネマ。(9/12)
そうだ、私はシューマンヲタなのであった。と思い出しました。余所見多いもんで駄目です。
監督はブラームスの末裔にあたる女性。大筋は史実に忠実に作りながらも、人物像は全体にかなり現代的。特にブラームスの人物像がものすごく予想外。ああいう天真爛漫なキャラに描かれるとは。髭もじゃの気難しいドイツドイツしたおっさんという従来のイメージを覆す画期的な人物像。確かに若い頃の写真を見ると線の細い繊細そうな顔立ちなんですよね。あと、クララ・シューマンがオケを指揮する場面があったけど、あれはさすがに創作なんだろうなあ。
クララ・シューマン(旧姓ヴィーク)は、作曲家ロベルト・シューマンの妻。音楽家の両親のもとに生まれ、ピアノを仕込まれ、かつてのモーツァルトのように天才少女として各地を演奏旅行して一家の稼ぎ手でした。こういう才能のある子供を飯の種にするというのは、当時の音楽界ではよくあったようです。芸人みたいな感じなんでしょうね。クララは若い頃作曲の才も発揮するのだけど、女にふさわしくないと周りに言われてやめてしまったようです。シューマンが精神病を患って以降(そして死後)、彼女は再び演奏家として一家の稼ぎ手になります。あの時代に稀有なシングルマザーでワーキングウーマンだったのですね。
ブラームスはクララに恋していたものの、プラトニックな関係だったと言われていますが……映画のあの展開はどうかなー。あそこまで行くなら最後までやれよと(身も蓋もなし) しかし映画ではシューマンブラームスの間の(主にシューマンからブラームスへの)同性愛的感情も匂わせていて、なかなか複雑。
ともあれ全編シューマンブラームスの音楽で満たされていて美しかった。特にエンディングに流れたブラームスのピアノ協奏曲第1番、ひさびさに聴いて、こんなにいい曲だったかと惚れ直しました。