ヴィヨンの妻

ヴィヨンの妻』を観てきた。ヒューマントラストシネマ。(11/8)
いや太宰でした。駄目男でした。素晴らしかった。
ああいうどうしようもない関係はやっぱりそういう経験をした人じゃないと書けないのか。太宰の作品はあまり読んでないので引用部分が正確にはわかりませんが、とても文学的な映画でした。全編通して非常に抑えた演出で、台詞はどうやら小説そのまま(その口語としては違和感のある台詞が、うまいこと異様な感じを出している)。登場人物がぼそっと呟いた言葉の意味を、常に映像と照らし合わせながら注意深く読み取らなければならない。まさに行間を読む、というのを映画でやらされるわけです。そうするために、あの一種オフビートな、間がたっぷりと取られた映像の流れがぴったりなのだ。佐知はともすればかなり電波なキャラで、大谷は太宰そのもののような駄目男で、彼らが織りなす真剣なようなとぼけたような間合いはユーモラスでさえある。
そうそう、特筆すべきは広末涼子でした。映画の中にしっくり収まっているじゃないですか。監督の指導力なのかもしれないけど、見直しました。これまで大根大根言ってほんとすまんかった。