図説プロイセンの歴史

  • 『図説プロイセンの歴史』 セバスチャン・ハフナー/魚住昌良・監訳/川口由紀子・訳(東洋書林

同時代の図版が多くて貴重。巻末の国境変遷地図も嬉しい。内容的には本当に通史というか概論というか、細かいことは大胆に端折り、著者の史観が前面に出ている感じ。つまり、プロイセンドイツ統一に向けてたゆまぬ努力をしていたとか、後にナチに発展した野蛮な全体主義的軍国国家だったとかいう通説は、単なる伝説ないし捏造だ、ということ。
大筋には頷けるんですが、伝説を否定するあまり、功罪両面においてちょっと過小評価が過ぎるかな、という印象。書かれたのが1979年の東西ドイツ分裂時代、1907年ベルリン生まれの著者、という背景を考えると仕方がないのかもしれないけれど。