ヨーロッパ史における戦争

  • ヨーロッパ史における戦争』 マイケル・ハワード/奥村房夫・奥村大作 訳(中公文庫)

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)
サルでもわかるヨーロッパ軍事史的にわかりやすく面白かった。あまり細かいことまで書かれていない分、全体の流れを俯瞰しやすい。
ナポレオン率いる革命軍、後の大陸軍が、国民国家的市民軍に見えて、実は中世の傭兵に似た厄介者的立場にあったという指摘が面白かった。共和政フランス政府は革命軍を持て余し、国外に出した。かくして流浪の大陸軍はナポレオンに大陸制覇をなさしめる余剰パワーとなり、同時にそれは中世の戦争さながらの略奪行だった、と。ナポレオンとその軍隊が傭兵と同様の社会階層流動の手段だったって考えると、その究極の結果が、選帝侯でもなく帝位に何の血脈的根拠もないナポレオンの皇帝位戴冠ってことなんだな。