カトリーナが洗い流せなかった貧困のアメリカ

貧困に身を削られ苦しむ者が存在するのは、ある面では、公共政策によって社会的に選択されたためである。貧困者の数や貧困期間の長さを決定しているのはそんな政策である。ところがこう認めることは、貧困な者たちの惨状は自分自身が加担したものだったと認識するに等しい――経済的弱者への施策の予算削減を行ったのは政治家たちだとしても、彼らに投票したのはわたしたちにほかならないのだ。

(p5-6)

アメリカの場合、格差問題に加えて根深い人種差別問題があり(本書の焦点もここにある)、投票することさえできないような状況(人種差別による選挙妨害等)もあるとは言え、はっきり言って対岸の火事とは全く思えない。