路上の人

面白かった。ほんの少しミステリのノリがある。けど、私のような無学者が読んでても「これは史実としては???」という箇所がちらほらあったので(あの時代にイングランド人がキルトでベーコンエッグか? とか、子供を人質にされた女城主がスカートを捲くって「子供ならこれでいくらでもできる」と叫んだ挿話は、塩野七生の小説ではカテリーナ・スフォルツァのエピソードとして書かれてたような、とか)、歴史に詳しい人が読んだらまた違う感想があるのかもしれない。アリストテレスの喜劇論の辺りはそっくりそのまま『薔薇の名前』ネタですね。
キリストが笑ったか笑わないかなんて問題がどうしてキリスト教世界(というかローマ教会)の存亡に関わるような大問題になるのかやっぱり理解できないけど、まあ官僚組織っていうのはどうでもいいような瑣末なことがきっかけで罅が入るもんだとも思う。そこをしっかり認識しているがゆえに、ローマ教会は今日まで強固な基盤を築いて来られたんだな。