古代カルタゴとローマ展

古代カルタゴとローマ展に行ってきました。大丸ミュージアム
展示場が百貨店の1フロアだけに展示物はそう多くなかったですが、見ごたえありました。大きくローマとの戦争に負ける以前と以降の時代に展示がわかれていて、紀元前4世紀〜紀元後5世紀くらいまでかな。
全体に造形がとても端正で繊細。装飾品などは本当に小さくて精巧。彫刻は紀元前3〜4世紀のものでも、エジプトよりギリシャに近い感じ。でもギリシャよりも線が柔らかく丸く、甘い感じ。この感じ、すごく好き。前3世紀の女神官の棺の蓋に彫ってある等身大女神の彫刻とか、惚れ惚れするほど美しいです。
神話や宗教はフェニキアギリシャ、エジプトが混じり合っているようで、有翼の太陽円盤とか天空の蛇とかのレリーフフェニキア語の祭文が書かれていたりで、なんとも柔軟。
ローマ化以降の彫刻はもう、完全にギリシャ・ローマ風。紀元前の彫刻にあった、あの何とも甘いラインがない。
そしてモザイク。凄い。細かい。点描派も真っ青。やっぱり手先が器用な人々だったんですね。あんなモザイクに囲まれて暮らすなんて、なんて贅沢、なんて洗練。
しかし、模型で展示されていた軍港が凄いです。カルタゴには長方形の商港と、円形の軍港の二つがあったらしい。水路を通じて海に直結している長方形の商港の奥に、さらに円形の軍港が作られている。円形の軍港の中心には鍵穴型に張り出した円形の人工島があって、ここが乾ドック兼軍船の格納庫。軍船は最大220隻収容できたそう。円形人工島は列柱を使ったギリシャ様式で、中央に軍司令官がいて、ここからの号令一下で軍船が出入りしていたと。超合理的で近代的。かっこいい。
ところで、最近は美術館でも博物館でもペンでメモしてると「鉛筆でお願いします」と言われるので、いつも鉛筆持って行こうと思いつつ、今回も忘れた…。でも模写もダメってひどいよう…。等身大女神の彫刻、模写したかったよう…。