ユリウス・カエサル ルビコン以後

ガリア戦役を終え、ポンペイウスとの内戦からカエサルが暗殺されるまで。そして、カエサルの後継者争いから生じたオクタヴィアヌスのエジプト征服まで。
カエサルの暗殺はもう、呆気ないと言うしかない。カエサルが長年かけて積み上げてきた改革が一気に水の泡。テロって結局こういうものなんだろうと思わせる。襲うほうに確たるビジョンがないのもまさにテロ。首謀者の一人マルクス・ブルータスの母セルヴィーリアが「殺した後のこと何にも考えてなかったのかお前らあああ!」とブチ切れたのが唯一まともな反応だ。しかも彼女はカエサルの長年の愛人。なんというか、やりきれんですな。
しかし、カエサルの遺言状に後継者として指名されたオクタヴィアヌスが、これまた凄いキャラです。例えば、カエサルが暗殺された途端、暗殺者側についた日和見蝙蝠のキケロを「パーテル」「パーテル」と呼んで懐いてみせ、油断させておいてばっさり処刑。カエサルは腹黒いけど、表裏がないから一見腹黒く見えないんですね。しかしこのオクタヴィアヌスは、カエサル死後の手腕を見ても、見事に表裏のある腹黒さ。スッラの冷酷とカエサルの果断を足して二倍にしたような、強烈な手段を選ばなさ。カエサル暗殺時に18歳だったというから、カエサルが後継者として目をつけたのはもっと若い頃のはずだ。その若年にして、この腹黒さを買われたんだな。いやはや。
それにしても、クレオパトラアントニウスのむちゃくちゃ加減というか欲望のままのほとんど無計画な暴走っぷりは、思わずナチュラル・ボーン・キラーズを連想してしまった。いや全然違うんですけど、なんとなく雰囲気的に。ミッキー&マロリーをもっとヘタレにした感じ。
ところで、ナチ式の敬礼(あの腕を伸ばして前に上げるやつ)はもともとローマ式の敬礼だったそうで。なんちゃってローマフリークのムッソリーニが採用したのを、さらにムッソリーニファンのヒトラーが採用したんだそうです。あちゃー…