N響の本気を見た!

tatsumidou2010-01-30

N響の定演に行ってきた。オーチャードホール
指揮者が英国からのエドワード・ガードナーということで、曲目はエルガー「セレナード」、グリーグのピアノ協奏曲、ショスタコーヴィチ交響曲第5番。私の目当ては勿論タコ5。
グリーグソリストはドイツの若いピアニスト、セヴェリン・フォン・エッカードシュタイン。さすがに男性ピアニストはパワーが違う。テンポはかなり速めでパリッとしたキレの良い演奏。私の好み的にはもうちょいテンポ遅くてもいいから、もうちょい甘くてキラキラした感じが欲しかったですが、しかし良い演奏でした。
しかしお楽しみはこの後だった! そんなにN響聴き込んでいるわけじゃないですが、今回のN響はちょっと。ちょっと凄かったんではないか。いつも上手いけど大人しいという印象だったのが…目を瞠るような体育会系の機動力。そして凄い鳴り方してたよ! なんだよやればできるんじゃん! 
編成は弦高音から6-6-5-5-4プルト。もうベース8本見ただけでテンション上がる低音厨の私。テンポは全体に速め。きびきびしためりはりある演奏で、完全に統制の取れた阿鼻叫喚という感じ。そう。それが本来のソヴィエト・クオリティのはずだ。しかしオーチャードホールという悪条件にも関わらず、オケの鳴り方が違う。特に管打楽器。この指揮者さんはおそらく弦とのバランス等で管打楽器を抑圧しないタイプの人なんではないかと思う。やっぱりブラスの国の人だから? 
弦はそれでもバランスの良い鳴り方をしていて、低弦が下品に(褒め言葉です)突出しているとかはないんですが、しかしこれもいつもの三割り増しゴリゴリ言っている。二楽章冒頭のチェロ・バスにはGJと拳を握り締めた私だ。三楽章の集中力、そして四楽章冒頭のティンパニーと金管。GJ! GJ! もうゴングなんかほとんど野球のバッターのフォームでぶっ叩いてた。きっと指揮者に思いっきりやれって言われてたんだろうな。国内オケのコンサートで大音量で耳が痛いと思ったの、正直初めてです。あと四楽章最後の直前でバスドラムの本体をぐるぐる回して皮を張り直すのも初めて見た。例のあの連打のために! すげえ! すげえこだわり! 演奏者もみんな凄い勢いで縦横に揺れてて熱いノリ。どこか楽しそう…というのも変ですが、格段に生き生きしていた気がするよ。指揮者が変わるとこんなに変わるんだなあ…偉大。
アンコールには「エルガーで始めたからエルガーで締めます」という指揮者のコメント付きで、「エニグマ」の「ニムロッド」。これがまた美しい。ちょっとブラスちっくな分厚い音に甘いメロディー。
久々に大満足の演奏会でした。N響にはこの本気を常に見せて貰いたい(真顔)。特にロシア物で(真顔)