残酷な神が支配する

残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)

昔、雑誌で追っ掛けしていたものの最後まで読みきっていなかったのを大人買いして、昨日の夜から徹夜で一気読みした。ラストには滂沱。萩尾望都は間違いなく表現の神である。
物語はジェルミの母と養父が死んだところから始まる。つまり、行為としての虐待が終わったあとから始まる。物語の主眼を再生と救済に置いたところ、加害者もまた被害者であったという複眼的な視点で描かれていること、そして登場人物の心の動きを絵でしか成し遂げられない大胆で繊細な手法で表現しているところが素晴らしいと思う。