シャネル&ストラヴィンスキー

観て来た。Bunkamuraル・シネマ。
冒頭の春の祭典だけで大満足。ファゴットソロ、ほんとに美しい。作曲家はあえて当時はほぼ使用音域外だった超高音域で苦しげな音を出させる意図だったらしいけど、解釈というか演奏というかは往々にして作曲家の意図とはズレていって、しかもそれが別種の美しさを生み出すこともあるんだと思う。
パリで大ブーイングに遭った春祭初演はほぼ当時のまま再現したらしいけど……こりゃブーイングですわ。問題は音楽じゃなくてむしろ演出とみた。プリミティブで異教的すぎる。パリの大部分の観衆は適度なオリエンタル趣味は歓迎するけど、本当に土俗的な神秘性は求めないだろう。しかしこれを観ると、ストラヴィンスキーはやっぱりロシア人だなあと思う。あのリズムの刻み方なんかは東欧や中央アジア的。バルトークを連想した。
画面はシャネルのモノクロの美意識が隅々まで行き渡って美しい。主演のアナ・ムグラリスギリシャ系とのこと。あの目鼻立ち、どこかデジャヴュがあるなあと思っていたら、マリア・カラスだった。