今日は王宮とマヨール広場やプエルタ・デル・ソル辺りの目抜きを徘徊予定。しかし朝から雨。

朝食はアトーチャ駅内のカフェで。私はミルクコーヒーとクロワッサン、母はチョコを巻き込んだパイのペストリー。ここもどこにも値段表がないのだが、私のがnormal desayunoらしく2.2EUR。母のはほんのちょっと高い程度。コーヒーに小さなチョコがついている。ここのコーヒーはillyのだった。他でも結構illy使ってるカフェよく見掛けたな。

アトーチャ駅で到着した日に見つけられなかった熱帯植物園を探す。拡張したらしい駅に連結していた旧駅舎の部分にあった。かなり大きい。ベンチもあって待合所みたいになってた。

さて王宮。着いた頃には雨が本降りになってきた。ブルボン家のフェリペ五世が18世紀に建て直したものとあって、スタイルがこれまで見たものと全然違う。フランス・イタリア風で装飾が多い。回廊のあちこちに像がたくさん置いてあるんだけど、ローマ人のが圧倒的に多い。特にアウグストゥスの。やたら多い。皇帝萌えだったのか。
王宮内の部屋は勿論豪奢。巨大なタピストリーはブリュッセル製。カーテンなどの布地はナポリ製が多い。植民地を十二分に活用していますね。しかし部屋一つ一つはそれほどだだっぴろいという感じはしない。居住スペースのほうなぞ小ぢんまりしているとさえ言える。ホールとか扉とかはがつーんと広い/大きいのに。日本の畳敷きの部屋をばーんと広く取って回廊はそのまわりに付け足し、みたいなのと全然考え方が違う。
王宮の部屋の他に、王室薬局とフェリペ2世時代の武具の展示室がある。武具の部屋には甲冑、盾、馬に着せる鎖帷子などが沢山展示してあって、当時の騎士の乗馬姿を再現している。ドン・キホーテはこんな格好でへろへろと驢馬にまたがって旅をしていたに違いない。

王宮を出てメトロに乗り、ソルに出たものの、表に出てみると大雨になっていた。ソルからマヨール広場辺りをうろうろする予定だったけど、とても外を歩く天気ではない…ということで、とにかくそこらへんのカフェに飛び込む。ここでお昼代わりにサラダと魚介のパエリア。お米は日本のと違って長米種だったけど、仕上がりは案外柔らかい。芯があるとかはない。むしろ柔らかめに炊いた御飯って感じ。まあ専門店ではないし、ほんとはバレンシアが本場らしいし、よくわからないけど味は良かった。
しばらくカフェでゆっくりしている間にちょっと雨が小降りになってきたので、マヨール広場へ。さすがにこの天気、このシーズンで閑散としている。まあ珍しい光景かも。きっと夏になったら太陽を求める北ヨーロッパの観光客で芋洗いになるんだろうな。
広場の中にPoliciaと大書されたパトカーと白バイの兄ちゃんたちが二人ほどいる。ご苦労様です。ちなみにスペインのパトカーとか消防関係の車両とかは皆シトロエンでした。タクシーはプジョーが多かったな。
ちょうどそのときどこかで火事か何かあったようで、辺りにサイレンがガンガン鳴ってたんだが、マヨール広場を歩いていると、いきなり消防車が広場内に進入してきた。いや、パトカーも入ってるし、車が入れないわけじゃないんだけど……びっくりしたのは、その消防車が結構なスピードでマヨール広場を対角線上に突っ切っていったことだ。あれだけ鳴らしてれば進路を塞ぐ馬鹿はいないだろうけど、全然スピードを落とさずにぶっ飛ばしていったのには驚いた。近道なんだろうけど…いやはや。つくづくシーズンオフ&この天気で良かったね。

そろそろ夕方になってきたので、修道院と教会に行こうということに。渡航前にはスペインはシエスタの習慣で、昼過ぎからは美術館まで休むと聞いていたけど、実際には美術館や博物館や観光名所などは昼に閉まったりはしない。カフェやバルもずっとやっている。ただ、レストランと教会や修道院だけは、休みがある。レストランはランチタイム(大体1430くらい)が終わると一旦店を閉め、次はディナーで20時から。これ日本人には厳しい。教会や修道院は、お昼時の13時前くらいから夕方まで閉まって、16時くらいから夕方や夜まで開ける。最初この教会の昼休みをうっかり失念していて、バルセロナでは内部を見損ねたりした。

というわけで、今回は夕方16時の再開時を狙ってデスカルサス・レアレス修道院へ。ここは内部に見事なフレスコ画があるとのこと。しかしスペイン語のツアーでしか見せず、最初のツアーは逃してしまい、次は17時からとのこと。うーん、そもそもスペイン語では全くわからない。

もう一方の修道院、エンカルナシオン修道院に行ってみる。こちらもスペイン語のツアーしかないとのこと。わからないだろうけど、せっかくだから行ってみようか、ということになり、こちらに参加。一緒のグループになったのは、なかなか身なりの良いスペイン人のマダム4人組。
ツアーは神父さんらしい人が一人ついて説明しながら修道院内を巡っていくんだが、確かにこれはツアーじゃないと駄目というのはわかる。絵とか細工物とか、普通にそこらへんにすぐに触れる位置に掛かっているからだ。プラドで見たのと似た王室の肖像画も何枚もあった。フェリペ2世の娘たちの肖像画もこちらにあった。案内された部屋から順に扉を開けて電気をつけていき、終わった先から閉めて消していく。絵の保護からもそうしないといけないんだろう。
説明は勿論一言半句もわからない私たちだったが、聖遺物室に入ったときに、一緒だったマダムの一人が、「スペイン語話せる?」と聞いてきた。「いいえ、残念ながら」「英語は?」「少し」「じゃあ今のは何もわからなかったわね?」「(う…)ええ、説明していただけます?」ということで説明してくれたのが、この修道院の一番有名な聖遺物、三世紀の聖パンタレオンの血。この凝血が毎年7月27日に液化するそうで、沢山の人がそれを見に来るんだそうだ。
最後は聖堂で解散。マダムたちは何やらおしゃべりしていたが、うちの一人が去り際に祭壇の前でさっと跪いて礼をした。この後に行ったサン・イシドロ教会でも、マリアの祭壇の前でだけ、何人かこういう礼をした人を見た。こういう作法って、やっぱりなかなかわからない。
修道院の玄関口に戻って、お土産ものを賑やかに見ているマダムにお礼を言うと、スペイン語で「いいのよ、よい旅を!」(大意)と言ってくれた。しかしほんと、あそこで説明して貰わなかったら仁和寺の法師状態でしたわ。感謝。

ツアーに結構時間がかかり、遅くなったのでマヨール広場近くまで戻って、ハモン屋さんがやっているバル&レストランへ。ここは一階がハモンやチーズ、パン等の販売店とバル、二階がレストラン。吹き抜けの壁一面にはハモンがびっしり吊るされている。
ここでワインとハモン、あと母ご所望のマッシュルームの鉄板焼きを頼む。あとパン。当然のように要らないのかと訊かれる。ハモンはさすがに専門店だけあってボリュームたっぷりで美味しい。レストランでのお値段も安い。バルで食べたらもっと安かっただろう。マッシュルームは肉詰めで来た。これは予想外。ちょっと重かった。ワインは私が赤、母が白で、どちらもびっくりするほど安かった。最初、メニューのワインを指したら、それはボトルだと言われたくらいだった(私はグラスだと思っていた)。そしてとても飲みやすくて美味しい。思うにこういう安いグラスワインは若いのを出しているんだろう。でもやっぱり基準レベルが高いのでしょうな。良いお店でした。
御飯の後、サン・イシドロ教会へ。ここは2030まで開いているというので後回しにしたのだけど、行ってみたらミサの真っ最中だった。あんまりうろちょろするわけにもいかず、後ろの隅のほうに座って終わるのを待ったのだけど、2030過ぎても司祭さんのお説教が全然終わらない(ここでもマイクつきだった)。仕方なく、目立たないように後ろのほうだけ見て退散。本当は祭壇の聖イシドロの棺が見てみたかったんだけど。
帰りにエル・コルテ・イングレス地下のスーパーに寄って明日の朝御飯を買い込み、本日はこれで終了。