総統の子ら

実は、読んでいて途中で飽きてきてしまった。確かに背景の書き込みが克明でそれだけでもどれほどの労作かとわかるのだが、如何せんストレートな大河ロマンで……汚れちまった私は単なる大河ロマンには萌えられんのです。大河ロマンを覆す何かがないと。7割がた読んでその先にそれがあるようには思えず…いや、最後まで読みましたけどね。
大蟻食先生は戦闘シーンを評価なさっているが、確かにWW2の東部戦線舞台でこういう泥まみれテイストのものはなかったかもしれないけど、時代と舞台を変えればそういうのはあるしねえ。まあ、まさにこのWW2の東部戦線という危ない舞台のチョイス自体が評価されるべきなのかもしれない。
ただ一箇所、ソ連の収容所を脱走したヘルマンが神の存在を感じたくだりだけは、読んでいて震えが来るようだった。あの瞬間だけで価値がある。