• 『アリスの国の不思議なお料理』 ジョン・フィッシャー/開高道子 訳

買おうか迷って図書館で借りてみた。正直レシピ本としては全く魅力的でない。いかにも英国風の小麦粉と砂糖と脂の固まりみたいなお菓子が多くて見ているだけで震え上がるんだが、語り口がもってまわった言い回しで皮肉っぽくてまさに英国紳士なのが楽しい。巻末のドジスン先生のエッセイ2本がまた良い。

  • 『安心ひきこもりライフ』 勝山実(太田出版

軽妙な語り口だが、作者はかなり重症だった部類。ここまで回復するまで本当に大変だったろうと思う。

舞台は三十年戦争だけど、登場人物の類型は『総統の子ら』に似ている。

  • 『歴史を変えた気候大変動』 ブライアン・フェイガン/東郷えりか・桃井緑美子 訳(河出文庫

鱈を追ってえんやこら。自由資本主義の先陣を切ったイングランドの世知辛さに目から汁が…。アイルランドに残した禍根は計り知れない。

  • 『パリ左岸のピアノ工房』 T.E.カーハート/村松潔 訳(新潮クレスト・ブックス)

発表会を前提としないレッスンていいな。

  • 『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』 皆川博子(ハヤカワ・ミステリワールド)

軽妙でこれまでと違ったタッチ。初っぱなから面白いんだが、18世紀のロンドンが実に世知辛くって飯が不味そうで泣ける。続編が出そうな終わり方だった。