ブエノスアイレス食堂

文明はただ暴力や嘘から成り立っているわけではない。食とて文明なのだから、自身の伝説を語るものなのだ。

(p37)
ジュースキントの『香水』が人体そのものへの執着を愛との関係で描いたものだとすれば、この小説は食との関係を、それと表皮一体の暴力と併せて描いたものなのだろう。