日本人のための戦略的思考入門/日本の国境問題

  • 『日本人のための戦略的思考入門』 孫崎亨(祥伝社新書)
  • 『日本の国境問題』 孫崎亨(ちくま新書

引用元を確認していないのでバイアスの程度は判断できないが、書いてある範囲で論理が明快で説得力ある。後者の内容は前者と一部重複するのだが、国境問題に特化してより詳しく述べたもの。
日本の政治の一番の問題は、「担当者さえわかっていればいい」という体質じゃないかと思った。極めて属人的に処理し、政策や他国との外交の微妙な部分についてきちんと記録や引継ぎがされないので、担当者が変わるとご破算になり、政権が変わるととんちんかんな対応をしてしまう。一貫した情報が蓄積されないから、一貫した政策が継承されない。そして事実は担当者だけに仕舞いこまれ、担当者以外にはよくわからないから、とんちんかんな認識の下にとんちんかんな反応をするというわけだ。要するに説明不足というやつで、説明ということに対するコストを非常に惜しむ傾向があるよね。
政治だけでなく企業にもこういう傾向があるから、日本の組織の一つの特徴なんだろうと思う。外交に関して、この特徴は非常にマイナスに働くということが、これらの本でよくわかる。