貴婦人と一角獣展

練習の後、貴婦人と一角獣展に行ってきた。新国立美術館
大部屋に巨大なタピストリー六枚ドーンは凄かった。これが目玉というだけあって他の展示は少ないんだが、とにかく大きくて美しい六枚だから見応えあった。事前に芸術新潮で予習して行ったしね。会場が広いからストレスなく見られるのも良かった。
まず思ったのが、描線や造形がイラストや漫画を思わせるなあということ。特に人物の顔とか、服の襞の付け方や、装飾の形式など。基本的に線画で表現するとなると、陰影のつけ方や描線の使い方などは結局似通ってくるってことなんだろうか。
それと、千花文様(ミルフルール)の色使いや造形は、何となくボッティチェリの草花を連想させる。このタピストリーの制作が1500年代、ボッティチェリの制作年代が1400年代末から1501年頃までということを考えると、イタリアルネッサンスの表現が北フランスやフランドルに伝わってそこで流行り、パク…もとい模倣されていったのかな。
全体に目を向けると、六枚並べて見ると、それぞれの大きさが結構不揃いなことがわかる。デザイン的にも、『視覚』以外の五枚にはそれぞれ四種類の植物の樹が描かれているのに、『視覚』だけは二種類。四種類の植物にしても、並び方はそれぞれに違っていて、必ずしも統一されていない。全体として同じテーマの一セットの作品には違いないんだろうけど、細部においてデザイン的な統一感は実はあまりない。これはこういうものなんだろうかっていうのはちょっと疑問。実は結構バラバラに(例えば別の人が、別の時期に)作ったものなんだろうか。或いは別々の工房に注文したらこういう出来上がりだったとか。他の連作の作品を知らないからわからないんだけど。

ところで、新国立美術館に行ったのは多分これで二回目くらいなんだけど、広々してて休めるところが沢山あって良いところだね。今日みたいな晴天だと館内も自然光で明るくて気持ち良かった。