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影の縫製機

『影の縫製機』 ミヒャエル・エンデ/ビネッテ・シュレーダー 絵/酒寄進一 訳(長崎出版) 詩より絵が好き。詩はちょっと説教臭いところあり。原文で読んだら違うのかもしれないけど。でも「例外」だけはめっちゃ好き。 これがまたすごいはげでね!

アルブキウス

『アルブキウス』 パスカル・キニャール/高橋啓 訳(青土社)

代替医療のトリック

『代替医療のトリック』 サイモン・シン&エツァート・エルンスト/青木薫 訳(新潮社) 一週間延滞してのたのたと読了。 代替医療の効果を科学的に検証しようという趣旨で、特に取り上げられているのが、鍼灸、ホメオパシー、カイロプラティック、ハーブ療法…

アプロネニア・アウィティアの柘植の板

『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』 パスカル・キニャール/高橋啓 訳(青土社) どうにも途中で目が離せず、一日で一気に読みきった。ローマ帝政末期、キリスト教が燎原の炎のように帝国を揺るがしはじめた時期に生きた貴婦人の手記の体裁を取った小…

パクス・ロマーナ

『パクス・ロマーナ ローマ人の物語VI』 塩野七生(新潮社) カエサルの後継者アウグストゥスの巻。初代ローマ皇帝(自称はしてなかったようですが)。帝政期ローマの土台を作った人。 カエサルたんと全く正反対の人だなあ。能吏型というか。同じ頭の良さで…

『ルネサンス 料理の饗宴 ダ・ヴィンチの厨房から』 デイヴ・デ・ウィット/須川綾子・富岡由美 訳(原書房) 『狼の口―ヴォルフスムント』 久慈光久(エンターブレイン) ルネサンス料理本、結局買っちまいました。 あとちょっと気になっていた漫画、ヴォル…

白い城/アスペルガー症候群

『白い城』 オルハン・パムク/宮下遼・宮下志朗 訳(藤原書店) 読み終わって呆然とする小説だった。書かれていることを理解したとは思えないけど(第一このタイトルの意味が読み終わってもわかっていない)、このぐらぐらするような読後感はすごい。 若いヴ…

パリが沈んだ日

『パリが沈んだ日 セーヌ川の洪水史』 佐川美加(白水社) わりと地味なテーマなのにすごくスリリングで面白い本でした。地理と歴史と社会学が見事にマージしてる。比較的薄い本だけど、内容はみっしり詰まった密度が素晴らしい。 なんとなく想像しにくいの…

世界の測量

『世界の測量』 ダニエル・ケールマン/瀬川裕司 訳(三修社) だいぶ前に読み終わって感想書くの忘れてた。とにかく、しょっぱなからガウスとフンボルトの奇人変人っぷりにノックアウト。ガウスはまだしも超偏屈者という感じだが、フンボルトの切れっぷりに…

言葉の力

『言葉の力 ヴァイツゼッカー演説集』 永井清彦 編訳(岩波現代文庫) 一民族全体に罪がある、もしくは無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります。 (p9) 政党の自画自賛は大した危険ではありま…

残酷な神が支配する

『残酷な神が支配する 1〜10』 萩尾望都(小学館文庫) 昔、雑誌で追っ掛けしていたものの最後まで読みきっていなかったのを大人買いして、昨日の夜から徹夜で一気読みした。ラストには滂沱。萩尾望都は間違いなく表現の神である。 物語はジェルミの母と…

仮想儀礼 下

『仮想儀礼 下』 篠田節子(新潮社) 予約待ちの長蛇の列で、これまた上巻から半年のブランク。しかし難なくストーリーに復帰できる親切設計。篠田節子のストーリーテリング凄まじい。淡々とテンポよく、必要以上におどろおどろしくなく、むしろ乾いたルポタ…

神聖ローマ帝国1495-1806

『神聖ローマ帝国1495-1806』 ピーター・H・ウィルスン/山本文彦 訳(岩波書店) 中身を見ずに図書館で予約したら…素人には厳しい本でした。通り一遍のドイツ史が頭に入ってないと、何のこと言われてるのかさっぱり。しかも最近の学説の動向の話がほとんどな…

倒壊する巨塔・下

『倒壊する巨塔・下』 ローレンス・ライト/平賀秀明 訳(白水社) ただ、「果てしなき追跡作戦」が残した最大の痛恨事は、ビンラディンというテロリストを、抵抗のシンボルに祭りあげてしまった点だろう。しかもそのシンボル性たるや、ムスリム世界に留まら…

図説プロイセンの歴史

『図説プロイセンの歴史』 セバスチャン・ハフナー/魚住昌良・監訳/川口由紀子・訳(東洋書林) 同時代の図版が多くて貴重。巻末の国境変遷地図も嬉しい。内容的には本当に通史というか概論というか、細かいことは大胆に端折り、著者の史観が前面に出ている…

海軍反省会

『[証言録]海軍反省会』 戸郄一成 編(PHP研究所) 座談会の記録という性質から仕方ない部分もあるとはいえ、発言ほぼそのまんまを文字起こしした記述を延々読むのは正直苦行のようでした。しかもみんな持って回った言い方で、他の出席者に遠慮があるのか、…

発禁『中国農民調査』抹殺裁判

『発禁『中国農民調査』抹殺裁判』 陳桂棣・春桃/納村公子・椙田雅美 訳(朝日新聞出版) 数年前に『中国農民調査』の訳書が日本でも刊行されたことは覚えている。確か新聞の書評欄に載って、読んでみたいなと思いつつそのままになっていたら、今度は本書が…

神聖ローマ帝国

『神聖ローマ帝国』 菊池良生(講談社現代新書) 図書館で借りたのは古い版だったので表紙に皇帝ジギスムントの絵が載っている。後追いで買ったのだが、こちらは味も素っ気もない無地の表紙。経費節減の一環か。 世界史の授業の記憶が睡眠の彼方でほとんどな…

背徳のクラシック・ガイド

『背徳のクラシック・ガイド』 鈴木淳史(洋泉社新書y) 昔に比べて最近めっきりクラシックのCDを買わなくなった。オケで演奏する曲の参考音源として買うのがほとんどになってしまった。試聴コーナーでいろいろ聴いても、余程面白い演奏やアレンジでなけれ…

ピアノ・ノート

『ピアノ・ノート』 チャールズ・ローゼン/朝倉和子 訳(みすず書房)(12/22) 金属と木材と象牙(今ではプラスチックのほうが多いが)の組み合わさったピアノという楽器、もはや恐竜と化したコンサート・グランドピアノという楽器に身体的に触れていたいとい…

ユリウス・カエサル ルビコン以後

『ユリウス・カエサル ルビコン以後 ローマ人の物語V』 塩野七生(新潮社) ガリア戦役を終え、ポンペイウスとの内戦からカエサルが暗殺されるまで。そして、カエサルの後継者争いから生じたオクタヴィアヌスのエジプト征服まで。 カエサルの暗殺はもう、呆…

帝都ウィーンと列国会議

『帝都ウィーンと列国会議』 幅健志(講談社学術文庫) 随分長らく積んでいた本だけど、つい先日たまたま手にとって、あまりの面白さに一気に読了。電車の行き帰り、昼休み、手の空いた勤務中にまで、かつての授業中の内職のようにこっそりと読み耽りました…

ユリウス・カエサル ルビコン以前

『ユリウス・カエサル ルビコン以前 ローマ人の物語IV』 塩野七生(新潮社) 消化試合のような前巻と打って変わって、これまでにない分厚さの上下巻である。カエサルたん、好きだったんだね…。 しかし確かに可愛いおっさんではある。四十くらいまで鳴かず飛…

読まず嫌い

『読まず嫌い』 千野帽子(角川書店) だから物語メガネとは、小説脳だけをさすのではない。物語とは「安定したものの見かた」の基礎になるもの、なのだ。これがなければ人は生きていけない。 (p38)読まず嫌いの理由付けって、皆一緒なんだなと思った。や…

倒壊する巨塔 上

『倒壊する巨塔 上』 ローレンス・ライト/平賀秀明 訳(白水社) イスラム系の名前は同じような名前の組み合わせばかりなので大混乱、しかも中東情勢に関する知識はほぼ皆無の私だが、それでもかなり面白く読めるのは、著者のそこはかとなくギャグテイストす…

日本人の戦争/勝者の混迷

『日本人の戦争 作家の日記を読む』 ドナルド・キーン/角地幸男 訳(文藝春秋)(10/27) 第二次世界大戦中の作家の日記から当時の日本人の意識を知ろうというのが作者の意図。公的な発表文書ではなく、後から手を入れたり後に発表を想定していたりということ…

ハンニバル戦記

『ハンニバル戦記 ローマ人の物語II』 塩野七生(新潮社) 単行本に切り替え。激闘カルタゴVSローマ編。読んでて全般的にハンニバルが酷薄な印象に描かれているのは、残っている資料がローマ側のものばかりという点から割り引く必要があるかもしれない。それ…

ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず 下

『ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず 下(2)』 塩野七生(新潮文庫) アッピア街道、キタ。昔『ローマの松』やったときの、四楽章の重量感、エンドレス感が甦ってきた。あれは重装歩兵のイメージなんだな。ローマ・ギリシャ激闘編。戦争に強いけど根…

ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず 上

『ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず 上(1)』 塩野七生(新潮文庫) お薦めいただいたので図書館から借りてみたが文庫版にしたのは失敗だった。薄い。薄すぎるよ。三十ウン巻とか気が遠くなる。次から単行本に切り替えます。神話時代から王政へ、…

漱石と倫敦ミイラ殺人事件

『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』 島田荘司(光文社文庫) なんかミステリ読むの久しぶりすぎて調子が狂う。ミステリと全く無関係な突っ込みばかり入れたくなる…。 これ読むと、御手洗&石岡シリーズがまんまホームズシリーズのパロだとわかる。本作だと石岡が…